文法理論は時間と同じ。目で覚えればTOEICの場所の前置詞は怖くない
前回は『時間』を表す前置詞についてまとめました。今回は『場所』を表す前置詞についてまとめます。前置詞に関しては100を超える種類が存在しているため、ここでは当然網羅しきれません。
また、前置詞の基本概念に関しては図や解説などでイメージは湧くと思いますが、具体的にこういった際にこの前置詞、といった内容に関しては、たくさん英文を読むより他にないです。
何回も声に出して英文を読んだり、ラジオを聴いたりしている間に、次第に『勘』が働くようになってきますので、ひたすら英文の音読を心がけましょう。
場所の前置詞
場所の前置詞といってもたくさんありますので、今回は以下の主要な前置詞に絞ってまとめることにします。
- 上方:on, above, over
- 下方:below, under
これ以外にももちろん場所の前置詞はたくさん存在しますが、最低限これだけでも憶えておかないとTOEICでは点数が稼げませんので、まずはこのあたりのところから復習をしていきます。
以下、それぞれの解説です。
上方:on, above, over
これらの3つの前置詞は全部『~の上に』という形ですが、それぞれ意味が異なります。以下、それぞれの用法に気を付けながら見ていきましょう。
1.on
『on』は、何かの上に接触している状況です。また、onは上に載っているだけではなく、物体同士の接触も意味しますので、下や側面などへの接触もonで表します。
(机の上に本がある)
There is a picture on the wall.
(壁に絵が飾ってある)
また『接触』の概念から広がって、以下のように『~に面して』『~に沿って』という意味ももちます。
(川沿いに村がある)
onの意味に関しては、他にもたくさんありますので、ここでは主要な意味を紹介するにとどめます。ただ、長文などでonを見かけても機械的に『~の上』と訳さずに、様々な意味があることに気を付けましょう。
2.above
『above』は同じく『~の上に』という意味ですが、onとは違って接触せず、上空に浮かんでいるイメージです。もっともわかりやすいのが以下の例文だと思います。
(ヘリコプターが木の上空でホバリングしている)
この例文の中で、ヘリコプターは木には接触していません。このように上空高くに浮かんでいるようなものもaboveならば、以下のように部屋の中で上のほうにある、というのもaboveの範疇です。
(時計がテーブルの上にかかっている)
この例文の中で、時計はテーブルに接触して乗っているのではなく、テーブルからは隔たれた壁のうえにかけられている形です。
このように『地面から見て』上方にある場合と、以下のように『地図の世界で』上方にある場合と2種類をaboveは意味します。
(東京は神奈川のすぐ北にある)
3.over
よくaboveと混同されがちなのがこの『over』です。aboveが漠然と『上方に』を意味する一方で、overは真上に『横切るように』であったり、あるいは『覆いかぶさるように』といった意味合いがあります。
ただし、この辺のニュアンスは言葉では少し説明しづらいので、実際に例文をいくつか読んでいただいた方が分かりやすいかと思います。
(川に虹がかかった)
She spreads a cloth over the table.
(彼女はテーブルにクロスを描けた)
日本語では『かかる』のニュアンスが近いと思われます。よく『川』などに橋や虹がかかる際に『ober』が使われます。

The rainbow arched over(across)the river.
下方:below,under
さて、続いて先ほどの反対の『下方』を指し示す前置詞を見ていきましょう。同様に、以下それぞれの説明をおこないます。
1.below
前述の『above』と対をなすのがこの『below』だと考えてください。aboveの範囲が『上方』であったのに対し、belowの範囲は漠然とした『下方』です。
以下のような例を見てみましょう。
(川が橋の下を流れる)
People were running below our window.
(人々が窓の下を走っていた)
このように、視点や物体からみて物理的に『下方』という意味を指し示す一方で、以下のように量・質的に『下方』という意味でも用いられます。
(私の弟は私より低い地位にある)
日本でも『見下す』という単語があるように、英語でも同様に『下』は劣っているという比喩的な意味でも使われる形です。
2.under
先ほどの『below』と対をなすのが『above』でした。『under』は『over』と対をなす概念だととらえていただければと思います。
『over』が覆う、という概念でしたが、underは『覆われている内側』という意味でも使うことが可能です。以下のような例を見てください。
(彼は本の下に鍵を置いた)
I wear a vest under a coat.
(私はコートの下にチョッキを着る。)
最初の例は『下に』という意味ですが、二つ目のコートの例はしたと言うよりは『内側』の意味を持っています。
また、下側にあるということは当然上から『圧迫』を受けていることになりますので『影響を受ける』『抑圧される』といった慣用句を作る際にも使われます(慣用表現などは別の記事でまとめます。)
最後に練習問題です。
練習問題
問題
- under
- below
- over
- above
- with
- over
- above
- under
解答は下にあります
↓↓
解答
(彼は飛行機で中国を横断した)
典型的な『横切る』の意味で使われる『over』です。このover以外にも『across』でも代替可能ですが、選択肢にないのでここでは『over』が正解です。
大きな大陸や、川などを『縦断する』というコンテキストでしたら、このoverやacrossが機械的にでてくるようにしましょう。また、しばしばallとセットになってall over~という表現のこともあります。
(彼は医者の治療にかかっている)
少し慣用的な表現ですが、underは『~の庇護下にある』『~の世話になっている』といった意味合いも持ちます。これも、位置関係をイメージしていただければ少し分かりやすいかと思います。
何かの『下に=under』あるということは、何かの世話になっているということですので、この表現を知らなくともなんとなく『under』であることが想像できるかと思います。
このように、ここで紹介した位置関係や、前回紹介した時間の関係などは、知らない表現が出てきた際に少なからずイメージさせるための助けになりますので、図として覚えておくことをお勧めします。