語彙の勉強は新しい単語を覚えるだけじゃない。英語の多義語の落とし穴

以前、英語のレベルに応じた単語の個数についてまとめました。例えば、TOEIC900点レベルではおおよそ5000程度の英語の単語を知っておく必要があります。

もちろん、我々は今まで英語の勉強してきたので現在知っている単語が『ゼロ』ということはありません。また『helicopter』や『Halloween』のように、カタカナになっている英単語もいくつも知っていますので、実際のところ1000~2000単語程度の知識の集積はあります。
ここから逆算して、上記の表でいえば単語数4,000、あるいは5,000や6,000を目指すといった形です。

しかし、実際のところ英語の単語は「複数の意味」を持っているケースがあります。これを「多義語(polyseme)」と呼び、我々の英語学習を悩ませる要因の一つになっています。

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多義語とは何か

文字通り、多義語とは一つの単語が複数の意味を持っているような単語のことです。以下、英語のアカデミックな説明を引用してみましたので見てみましょう。

The association of one word with two or more distinct meanings. A polyseme is a word or phrase with multiple meanings. Adjective: polysemous or polysemic. In contrast, a one-to-one match between a word and a meaning is called monosemy. According to William Croft, “Monosemy is probably most clearly found in specialized vocabulary dealing with technical topics” (The Handbook of Linguistics, 2003). According to some estimates, more than 40% of English words have more than one meaning.

『一つの語が2つないしいくつかの意味を持っていることがある。そのような語、ないしはフレーズを「多義語(polyseme)」と呼ぶ。対して、一つの言葉に対して一つの意味しか持っていない語のことを「monosemy」と呼ぶ。William Croftによると「Monosemy」は、特に学術的な場など、言葉の意味を明確にしなくてはいけない時に好んで用いられる。いくつかの調べによると、40パーセント以上もの英語の単語が多義語であり、複数の意味を持っている。』

日本語は、音が同じでも別々の漢字をあてるためにこの『多義語』に該当するような例は英語よりも少ないはずですが、それでも、例えば『味』なんかは、実際に食べるときの味の意味のほかに、趣味嗜好といった意味での使い方もします。

英語のtasteを見てみると、味覚、経験、好み、判断力、そして『少量の』といった意味でも使われます。ですので、英語の単語を見てmonosemy(一語の単語=一つの意味)といった様子で丸暗記することはとても危険なのです。

多義語の例と落とし穴

具体的に例を見てみましょう。『article』などは多義語の代表的なもので、しばしば『記事』とのみ訳されますが、実際には以下のような意味合いも持っています。

  • I saw an interesting article in the local newspaper.
  • They sell articles of all kinds at the shop.

  • Article 50 may only be used in accordance with international law.

最初の例は問題ないでしょう。ここでは『article』は普通に『記事(新聞記事)』として用いられています。

I saw an interesting article in the local newspaper.

『私は地元紙で面白そうな記事を見かけた』

次の例はどうでしょう。ここで登場する『article』を『記事』として訳すと『彼らは「記事」を売っている』という謎の文章になってしまいます。ここでは『article』の持つ別の意味である『商品』を当てはめるのが正解です。

They sell articles of all kinds at the shop.

『その店ではいろいろなものを売っている』

最後の例はどうでしょう。ここでも『article』を『記事』として翻訳すると『記事50』という謎の訳語が生まれてしまいます。ここでは『条項』として訳すのが正解です。

Article 50 may only be used in accordance with international law.

『第50条は国際的な場においてのみ用いられる』

上述したようにtasteなどは『味』も『趣味』も、なんとなく日本語と近い訳語ですので問題ないのですが、今回紹介した『article』のように、他の意味とあまり関連性がなさそうな単語が出てくると解読が困難になります。

英語の単語の40パーセント以上が『多義語』ですので、もし実際に文章を読んでいる際に、おかしいなと思ったらまずはこの『多義語』の可能性を疑ってかかりましょう。

多義語を克服するために

上述の『article』のような多義語に関しては、正直ある程度疑ってかかって、その都度新しい多義語の意味を覚えていくようなやり方しかないのですが、例えば以下のような例はどうでしょう。

  • She is a good doctor.
  • You should have your cat doctored.
  • 『doctor』なんて、それこそ小学生でも知っているような単語です。といってなめてかかっていたら痛い目にあいます。『doctor』も多義語の一つで、時に上述のように動詞として用いられるケースもあります。

    上の例文はそれこそ火を見るより明らかです。『彼女は良い医者だ』と、議論の余地もなく訳することができます。

    では、下の例ではどうでしょうか。ここでは、ある程度推測することが可能です。『doctor』は何をするか、と考えると、手術、治療、などが浮かびますので、それが動詞として援用されているのだと気づけば、正解にはそう遠くありません。

    ちなみに、この文脈では『doctor』は動詞の『去勢する』として使われています。

    You should have your cat doctored.

    『君の猫は去勢しておくべきだったね』

    他にも、doctorを動詞として使う場合には、治療する、何か毒物などを混ぜる、医者を開業する、などの意味合いもあります。ちなみに『ごまかす、改竄する』という意味もありますが、これは少し連想が難しいでしょうか。

    He had doctored his passport.

    『彼はパスポートを改竄した』

    最後の例は別として、他の例に関してみれば、元の意味を知っていれば、少なからず推理することが可能です。

    こうした多義語に関するセンスを身に着けるには『ひたすら英文を読む』につきます。何度も読んでいるうちに、そのうち、多義語の他の意味を知らなくても『なんとなくこんな意味かな』という察しがつくようになります。

    多少荒っぽいやり方ですが、これが一番確実に多義語の意味が身につくようになります。勿論、英文を読むときはある程度『多義語』のトラップ(trap)が文中に眠っていることを前提にしておかないと、文中で思わぬ形でつまづくことになりますので、あらかじめ注意しましょう。

    ちなみに、trapも『罠』という意味のほかに、携帯手荷物といった意味もあります。

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