英単語を効率よく記憶する3つの記憶術:脳の仕組みを活用しよう


前回『自在に使える単語の増やし方』についてまとめました。単語でも『見て理解できる単語』と『文中に自在に使える単語』とでは全く価値が異なります。

対して、英会話で使える単語とは、ただ単に意味がわかればよいのではなく、必要なときに必要な英単語を引き出せるように『自在化』する必要があります。今回はその『自在化』についてまとめていきたいと思います。

今回は、記憶のメカニズムを応用して、効率的にこの『自在に使える単語』を増やす、記憶術方法についてまとめていきたいと思います。

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記憶力とはそもそも何か

具体的な方法論に入る前に、少し記憶についてのお話からはじめていきたいと思います。

正直、記憶のメカニズムは科学者の中でも未だに議論されている、非常に取扱いの難しい分野ではあります。ドイツの精神分析学者、フロイトは記憶のメカニズムを一種の消える黒板のようなものに見立てましたし、フランスの哲学者ベルグソンは記憶を持続としてとらえました。

もっとも、数ある諸説の中でも次第に記憶の持つ概要が最近の研究で明らかになってきたようで、例えば以下のようなことが知られています。

『記憶することと同じくらい、忘却することも重要である』

これに関しては具体例を見た方が分かりやすいでしょう。ドイツの科学者が、若者ばかり数名程度集めたグループと、老人ばかり数名程度集めたグループを用いて、以下の実験を行いました。

  • グループA:若者ばかり数名
  • グループB:老人ばかり数名

これら2つのグループには、それぞれランダムに画面上に登場する単語を覚えてもらうように言います。例えば、画面上に『イヌ』『アメリカ』『舟』『宇宙』とあらわれるので、それらを覚えるような実験です。

さて、実験の途中で、科学者は『コンピューターが壊れたので、悪いが新しいお題で試験を受けなおしてほしい。今覚えた単語は全て忘れるように』と言います。これは実際にはコンピューターが壊れたのではなく、実験のためにわざと科学者が言ったのですが、被験者らはそんなことも知らずに、いま覚えたいくつかの単語を全て忘れて、新しく試験を受けなおします。

プロセス1・・いくつかの単語を覚える
プロセス2・・それらの単語を全て忘れるように指示される
プロセス3・・新しいモニターで、新しい単語を覚えるように指示される

さて、実験の結果、若者はプロセス3で新しく覚えた単語に関して、老人グループよりもはるかに優秀な結果をだし、プロセス1で忘れるように言われた単語に関しては全く忘れていました。

対して老人グループは、プロセス1で忘れるように言われた単語も、プロセス3で覚えるように言われた単語も、同じくらいの量憶えていたと言う結果でした。

どういうことかというと、年を取るにつれて『必要のないことを忘れ、重要なことを憶える』という能力が鈍化していくのです。何かを新しく記憶する力は勿論、メモリーをあけるために何かを忘れる力も人間には必要なのです。

重要なことと重要でないことの取捨選択

前置きが長くなりましたが、上述の実験のように、脳は先天的に『重要なこと』を覚え『重要でないこと』を忘れるようにできています。幼少期は膨大な量を取捨選択するためにこの能力は研ぎ澄まされていますが、年を取るにつれてこの能力が鈍っていきます。

もっとも、この『新しいことを記憶する能力』は30歳程度まではある程度維持されるようで、逆にそれを越えると次第に鈍化していく傾向があるそうです(私の知り合いも、30歳を過ぎてアメリカのMBAに留学していましたが、頭がついていかないと言っていました)。

もちろん30歳を過ぎてから新しく語学を学んで、ペラペラになるような人もいますが、有利不利といった面では語学を始めるには30歳以下で行うべきでしょう。

そして、この『重要なことである』と脳に認めさせることさえできれば、単語であろうと文法であろうと、数学の定理、法律、料理のレシピ、電話番号、なんでも記憶できるようになります。

記憶術のコツは脳に「重要である」と認めさせること

逆に、この脳の検閲に弾かれてしまうと、日々押し寄せる膨大な量の情報とともに、せっかく覚えた新しい単語も、忘却の彼方へと葬りさられてしまいます。ですので、何度も単語を書き殴ってみたり、何度も音読して見たり、何度も目にしてみても単語を覚えられないのは、決して勉強に向いていないのではなく『その情報を脳に重要である』と認めさせることが苦手なだけなのです。

では、どうしたら脳にその情報が重要であると認めさせることができるのでしょうか。色々な方法がありますが、以下にあげるような方法が個人的にはおすすめです。

  1. 英語を日々使う物として認識させる方法
  2. 経験や体験と通じて勉強する方法
  3. 五感を使って単語を勉強する方法

以下、それぞれの解説です。

1.英語を日々使う物として認識させる方法

この方法に関しては、以前『YouCanSpeak』の教材をまとめたときに触れました。

ですので、単に英語の単語をひたすら憶える、フレーズを暗記する、といったような『今のところ使い道のない英語』ではなく、英語を『日々使う物、必要な物』として受け入れさせるために、レアジョブのような実践型の教材や、語学留学が有用になってきます。『YouCanSpeak』は『名詞化』『副詞化』のシステムを取り込むことによって、他の単なる暗記物の教材とは一線を画していますが、それでも『勉強』の域にとどまります。これを『生きた英語』に昇華させるために、実践型の英会話で命を吹き込む必要があります。

毎日毎日繰り返し目にするものとは、すなわち「重要な物」です。例えば英語圏に留学するにしても、アフリカの、英語が使えなければ水さえ飲めずに即死亡するような地域と、日本人がたくさんいて日本語も通じるような国に滞在するのとでは、英語力の向上の仕方に雲泥の差がでてくるように、いかにそのものが『重要であるか』を脳に知らしめる必要があります。

2.経験や体験と通じて勉強する方法

2つ目の方法が、経験や体験を通じて英語を習得させる方法です。例えば、英語圏で生まれて初めて美容院に行くことを想像してみてください。貴方は髪の長さを変えずに、左右のボリュームを少し抑えて、髪をたてやすいように梳いてもらいたいとしましょう。

それを美容院に行く前に、英語でどうやって説明しようか、と色々考えることでしょう。『梳く』とは何というのか、あるいは『髪のボリュームとは』、そもそも『髪を切ってほしい』とは何と言うのか、などなど。

そのように、強烈な経験と組み合わさった英語は中々忘れることがありません。これは別に英語圏にいないからできないものではなく、例えばみんなも前で緊張しながらおこなった英語のプレゼンや会話でも、習得のレベルは段違いです。

3.五感を使って単語を勉強する方法

新しいことを憶える際に一番やってはいけないのが『ただ眺める』だけの行為です。毎日眺めている3色信号の、赤と青のどちらが右でどちらが左か、あるいはセブンイレブンの看板の模様などを、果たしてどの程度の人が正確に描写できるでしょうか?

ただ眺めるだけでは、基本的に情報は頭にまったく残りません。これは、脳がそれらを特段『重要なもの』として見なさないからです。

そこで、よく小中学校で使われるのが『写し書き』です。お坊さんのように何度も何度も同じ漢字や英単語をノートに書き写す行為は、恐らく誰もが小中学校時代に経験されたことでしょう。

これは『ただ眺める』だけよりはましですが、それでもまだ『眼』と『手』しか使っていません。さらに効率的に記憶の質を高めるには、ここに『音読』要素が加わってくるのです。

『音声を発する(正確にはこれは五感ではありませんが)』と『自分の声を耳で聞く』という二つの要素が加わることで『見る』『書く』『聴く』『話す』という4つもの器官を同時に使って単語を勉強することになります。

これによって、単語の定着度合いは格段に向上します。

単語は、このようにいかにどれだけ密接に英語とかかわってきたか、が重要なファクターになります。1年留学しても英語が話せない人がいる一方、一度も英語圏に留学せずに英語がぺらぺらな人がいるのは、この『英語に触れ』て、できるだけ英語の単語を吸収できる土台をいかに作れたか否か、が問題になってくるのです。

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